ACVIMが推奨する血圧測定結果を用いた判定方法と血圧測定プロトコル

ACVIMが推奨する血圧測定結果を用いた判定方法と血圧測定プロトコル

ここでは、ACVIMが推奨する血圧測定結果を用いた判定方法と血圧測定プロトコルについて紹介します。

ACVIMのガイドライン

ACVIM(アメリカ獣医内科学会)は、犬猫の高血圧症に関する数々の研究成果をもとに、ガイドライン「Guidelines for the Identification,Evaluation,and Management of Systemic Hypertension in Dogs and Cats」を2007年に策定しました。このガイドラインには、血圧測定の方法、測定結果の解釈、様々な病気との関係等が書かれており、高血圧症の診断や治療の手助けになります。

~参照文献~
1.Brown S , Atkins C , Bagley R , et al., Guidelines for the Identification , Evaluation,and Management of Systemic Hypertension in Dogs and Cats , J Vet Intern Med 2007; 21:542-558, ACVIM Consensus statement

2.青木卓磨, 犬と猫における全身性高血圧症の同定、評価及び管理のガイドライン、動物の循環器 第44巻2号 49-60,2011 獣医循環器研究会

血圧測定の意義(健常な犬・猫)

ガイドラインでは、10才になるまで定期的に血圧測定を行い、血圧値のベースラインを把握しておくことが血圧測定を有効利用するための準備として推奨されています。

●10才未満では、血圧参照値を把握することが目的
→2~3才、4~6才、7~9才において、1回づつ血圧測定を行い、健常状態でのベースラインを把握

●10才以上で高血圧スクリーニング
→ベースラインを参照値として、10才以上での高血圧スクリーニングに役立てる
※ただし、すでに何らかの病変を発症している患畜においてはこの限りではありません。

高血圧のスクリーニング(病変が疑われる犬・猫)

ガイドラインでは、血圧測定の有効なタイミングと判断基準が提供されています。
また血圧値のリスクを以下の様に分類しています。

 

ACVIMが推奨する判定フロー

ACVIMは、血圧測定結果について、以下のフローに基づき対処することを推奨しています。

血圧測定手順

ガイドラインでは、血圧測定誤差を抑えるために、血圧測定プロトコル(犬・猫の血圧測定を行う際の手順と決まり)が提唱されています。

【提唱されている血圧測定プロトコル】
① 半年に1度の頻度で、血圧計のキャリブレーションを確認する。

②手順書のような形で、測定手順をマニュアル化する

③測定場所は静かで、他の動物から隔離された環境を保ち、基本的には飼い主も一緒にいることが求められる。患畜を無鎮静かつ静かな状態で、血圧測定前に5~10分ほどその場所になれさせる。

④患畜を不快ではない姿勢でやさしく抑え、理想的には心臓と高低差が生じないように、腹もしくは側部を床につけて寝転がった姿勢が好まれる。高低差が10cm以上ある場合は、0.8mmHg/cmの補正を行う。

⑤犬の場合、腕周に対し使用するカフの幅は約40%、猫の場合は30~40%とする。カルテに使用したカフのサイズを明記する。

⑥患畜の姿勢や測定者の判断に基づき、カフは四肢または尾に装着する。カルテにはカフを装着した場所を明記する。

⑦本プロトコルに従って同じ測定者が血圧測定を行う(血圧測定の途中で測定者を交替しない)。測定者の訓練は不可欠である(訓練なしに血圧測定を行わない)

⑧患畜は落ち着いた状態で、動かさない。

⑨初回測定は省く。最低3回測定を行うが、SYSの変動が20%以下になるように連続して5~7回測定を行うことが望ましい。

⑩信頼性の高い測定結果を得るためには、必要であればカフを交換して測定を繰り返す。

⑪得られたすべての値を平均して、最終結果とする。

⑫信頼性が十分でないと判断した場合は、測定を続ける。

⑬書式を定め、カフサイズ、カフ装着位置、測定結果、省いた結果がある場合の理由、最終結果(平均値)、獣医師による結果の解釈等を記録する。



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今回は、ACVIMが推奨する血圧測定結果を用いた判定方法と血圧測定プロトコルについて、ご紹介させて頂きました。

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