動物用パルスオキシメーター関連知識:動脈血酸素分圧とは?
動物用パルスオキシメーター関連知識:動脈血酸素分圧とは?
当記事では、動物用パルスオキシメーターの関連知識である動脈血酸素分圧についてご説明いたします。是非ご確認ください。
動脈血酸素分圧とは?
動脈血酸素分圧は、別の呼び方でPaO2とも呼ばれております。単位はmmHgで表示する事が多いです。
動脈は血液を心臓から全身に運ぶ脈管、静脈は血液を心臓に運ぶ脈管です。動脈血とは酸素を多く含む鮮紅色の血液で、肺から心臓へ入る肺静脈と、心臓から全身へ送り出す大動脈に動脈血が流れております。逆に、酸素が少なく二酸化炭素を多く含む血液を静脈血と呼び、全身から心臓へ戻る大静脈と、心臓から肺へ向かう肺動脈に静脈血が流れております。
酸素分圧とは、大気中に含まれる酸素の圧力の事です。1気圧での大気は760mmHg、大気中の酸素の割合はおよそ21%なので、乾燥した状態での酸素分圧は760mmHg×0.21=160mmHgとなります。残りは窒素78%、その他1%となっております。
この事を踏まえ、動脈血酸素分圧(PaO2)とは、動脈血中の酸素分圧を指します。測定は動脈血ガス分析でおこない、基準値は100mmHgで、60mmHg以下になると呼吸不全の状態となります。動脈血酸素分圧(PaO2)が低下する主な原因は、肺胞換気量の減少、肺胞でガス交換障害の2つに大別されます。
体内における酸素分圧の変化
呼吸に伴う加温37℃・加湿100%とすると、37℃の水蒸気圧は47mmHgとなります。これを計算すると、(760-47)×0.21=150mmHgとなります。ただ、肺胞内に取り込んだ酸素が全て血液中に取り込まれる事はなく、肺胞内には体から放出された二酸化炭素が存在します。二酸化炭素の正常値40mmHgが肺胞に運ばれてきたと仮定して、これが肺胞に放出されると酸素の占める割合がその分だけ減ります。150mmHg-40mmHg=110mmHgとなり、更に肺胞から動脈血に移動する際に10mmHg程度のロスが発生するので、最終的に動脈血酸素分圧(PaO2)は100mmHgが正常値となります。
動脈血酸素分圧(PaO2)の数値を見る上で気を付ける事
動脈血酸素分圧(PaO2)を見るときはその数値だけでなく、吸入酸素濃度(FIO2)に対しての酸素化がどう変化しているかを考える必要があります。計算は動脈血酸素分圧(PaO2)を吸入酸素濃度(FIO2)で割って出します。吸入酸素濃度(FIO2)とは、吸気に含まれる酸素濃度の事で大気中の酸素の割合がおよそ21%、酸素ボンベの酸素濃度は100%となります。
動脈血酸素分圧(PaO2)
P/F比 = ————————————
吸入酸素濃度(FIO2)
例えば、動脈血酸素分圧(PaO2)100mmHg、吸入酸素濃度(FIO2)0.21の患者のP/F比は476なので正常値と言えるが、同じ動脈血酸素分圧(PaO2)100mmHgでも吸入酸素濃度(FIO2)0.45の患者だとP/F比が222と低い数値となり急性肺損傷にあてはまる可能性が考えられます。
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【参考文献】株式会社クイック 『看護roo!』 https://www.kango-roo.com/
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動脈血酸素分圧について、ご理解頂けましたでしょうか。関連知識である血中酸素飽和度(SpO2)については以下よりご確認ください。