動物用として使用される麻酔薬:イソフルラン
動物用として使用される麻酔薬:イソフルラン
動物用麻酔器と共に使用する気化器。気化器には揮発性麻酔薬が注入されており、麻酔薬として、多くの場合セボフルランやイソフルランが用いられています。ここでは、イソフルランや麻酔薬についてご説明します。
イソフルランとは
イソフルランとは、ハロゲン化エーテル系の吸引麻酔薬です。イソフルランは、麻酔効果の発生とその後の覚醒が速く、麻酔深度を迅速に変化させることができます。
イソフルランに関して、以下で簡潔に記載しておりますので、こちらもご参照ください。
イソフルランと他麻酔薬の特性
イソフルランと他の麻酔薬の特性を以下に示します。
種類 |
MAC |
血液/ガス分配係数 |
特徴 |
ハロセン |
0.7 |
2.3 |
不整脈が表れやすい、体内代謝率が高い、肺への影響が大きい |
イソフルラン |
1.4 |
1.3 |
臭いが強い、肝腎への影響が少ない |
エンフルラン |
1.7 |
1.8 |
呼吸抑制が高い |
セボフルラン |
1.7 |
0.6 |
肺、腎への影響が少ない、体内での代謝が低い、導入・覚醒が早い |
デスフルラン |
7.6 |
0.45 |
臭いが強い、体内での代謝が少ない |
笑気 |
105 |
0.4 |
他の麻酔薬と併用する、筋弛緩作用が少ない |
※MACとは、最小肺胞内濃度のことであり、麻酔薬で動物の50%を不動化させるのに必要な、肺胞内の麻酔薬の濃度のことです。MACが小さい場合、肺胞内の濃度が薄くても不動化を引き起こすと示され、麻酔効果が強くなります。
※血液/ガス分配係数とは、吸入麻酔薬が血液と平衡状態に達した時の血中濃度を吸入濃度で割った値のことです。血液/ガス分配係数が小さいほど、導入・覚醒が早くなります。
イソフルランは、導入と覚醒が早く、また麻酔の深度を変更しやすい麻酔薬です。また、肝、腎での代謝がほとんどなく、負の影響が小さい麻酔薬です。これらの特徴を持っていることから、動物用麻酔器と共に多く使用されています。肝腎への影響はほとんどありませんが、呼吸抑制が強いという特徴を持ちます。
イソフルラン以外の麻酔薬は、以下の特徴を持ちます、
ハロセン
まずハロセンについて、麻酔効果が強いという特徴があります。笑気と併用されることが多い麻酔薬です。麻酔効果が強い反面、カテコールアミン感受性増大作用が強く不整脈が表れやすい麻酔薬です。体内代謝率が高く、肺への負の影響(肝炎誘発など)が大きいという特徴もあります。
イソフルランと比較し、肝腎への影響が強く、また呼吸抑制が強い麻酔薬です。動物用麻酔薬としてもほとんど使用されていません。
エンフルラン
エンフルランについて、ハロセンと異なり体内代謝がほとんどない麻酔薬ですが、呼吸抑制作用が高い麻酔薬です。ハロセンと比較すると、麻酔の導入及び覚醒が早いという特徴を持ちます。
ハロセンと同様に、呼吸抑制が強い麻酔薬です。イソフルランと比較して、抑制作用が多くの場合に出現しますので、動物用麻酔薬としてほとんど使用されません。
セボフルラン
セボフルランは、体内代謝率がイソフルランと類似しており、イソフルランと類似した特徴を持ちます。
類似血液/ガス分配係数が低い麻酔薬であり、導入・覚醒が早いという特徴を持ちます。また、体内代謝率が低く、肺腎への影響が少ないという特徴を持ちます。麻酔の深度も容易に変更でき、比較的扱いやすい麻酔薬といえます。動物用麻酔器において、イソフルランと併せてよく使用される麻酔薬です。
デスフルラン
デスフルランは、吸入麻酔薬の中で、血液/ガス分配係数が最も小さい麻酔薬です。体内での代謝がほとんどなく、肺腎への影響が少なく、早期覚醒と早期回復が得られる点が大きな特徴です。
ヒト用の麻酔薬として使用されるようになってきていますが、動物用ではまだイソフルラン、セボフルランが一般的です。
笑気
笑気は麻酔作用が弱く他麻酔薬と併用して用いられます。筋弛緩作用が少ない点が特徴です。笑気を使用した場合、酸素欠乏症に陥る可能性があり、呼気中酸素濃度に注意する必要があります。
イソフルランの消費量
イソフルランの消費量は、以下の式で求められます。
イソフルラン消費量(ml)=3×イソフルラン濃度(%)×ガス流量(l)×時間(hr)
参考までに、イソフルランの消費量早見表を以下に示します。
動物用医療機器.comが扱うイソフルラン用気化器
動物用医療機器.comは運営するメトランは、動物用人工呼吸器、動物用麻酔器メーカーであり、気化器を加えて一体型としてお客様に納入しております。当社の扱うイソフルラン用気化器 “FORAWICK” には以下の特徴があります。
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