電気メスにおけるモノポーラとバイポーラ
電気メスにおけるモノポーラとバイポーラ
当記事では、電気メスにおけるモノポーラとハイポーラについて、ご説明いたします。モノポーラとバイポーラはアクティブ電極であり、電極数によって区別されます。
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モノポーラとは?
モノポーラは、電気メスのメス先(アクティブ電極)が1本です。その一本のアクティブ電極から高周波電流を流して、生体組織へ流します。メス先が細く、高周波電流を流すとジュール熱や放電熱が発生し、生体組織を切開・凝固します。生体組織へ流れた高周波電流は、反対側に置かれた対極板で回収された後、電気メスに戻ります。対極板の表面積は広く、生体組織と広範囲で接触していますが、これはジュール熱を分散し電流密度を抑え、生体組織間の加熱効果を防止するためです。対極板が生体組織に影響を与えることはありません。
バイポーラと比較し、動物用、人用ともに幅広く使用されており、電気メス自体をモノポーラと呼ぶ場合もあります。
バイポーラとは?
バイポーラは、モノポーラと異なり電気メスのメス先(アクティブ電極)が2本となり、セッシのような形状をしています。モノポーラでは、一本のアクティブ電極から高周波電流を流し、反対側の対極板にて回収していますが、バイポーラでは、一本の電極から高周波電流を流した後、もう一方の電極にて回収しています。
モノポーラと比較し、電極同士が近くにあるため、流れる電流が少なく、生体に余分な電流が流れることはありません。また、流れる電流が少ないことから、対極板は張られずに使用されます。
モノポーラとバイポーラの生体組織損傷範囲
モノポーラでは、高周波電流の流れる量が多く生体組織の奥深くまで電流が流れるため、組織損傷の範囲が広くなります。一方でバイポーラは、電極が近いため高周波電流の流れる量が少なく、電流のループ回路の特徴から電極で挟んだ生体組織にのみ発熱するため、組織損傷を最小限にとどめることができます。
モノポーラとバイポーラの用途
手術時において、出血は非常に大きなリスクになります。電気メスを利用することで、止血しながら組織を切ることができるため、現代の外科手術では必要不可欠な医療機器です。
モノポーラは、電気メスとして最も一般的であり、動物用・人用ともに一般外科手術で使用されます。一方でバイポーラは、前述のとおり組織損傷を最小限にとどめることができるという特徴から、血管外科手術など微細な手術に用いられます。
電気メスは、電気を流した際に生じる、ジュール熱と放電熱を利用して出血を防ぎながら組織を切っていきます。
その電流の出力を制御し、組織の温度上昇をコントロールすることで、止血したり、切ったりすることができるのです。
出力を制御し、細胞を蒸散させることで「切開」し、細胞のたんぱく質をタンパク凝固させることで「止血」をしています。
次に、電気メスで利用される電流について解説いたします。
高周波電流と電気メス
モノポーラ、バイポーラともに、高周波電流を流すことで生体組織の切開・凝固を行います。高周波電流を使用するのは、莫大なジュール熱・放電熱を発生させる必要があるためであり、そして、動物医療従事者の感電を防止するためです。低周波電流の場合、電気は人体を通りやすく感電の危険性が高いですが、高周波電流を使用することで感電リスクを回避することが可能となります。
しかし、高周波電流を使用することで、ノイズの発生等のデメリットも生じます。低周波電流と比較し高周波電流は放射ノイズを発生しやすく、またノイズを受けやすくもなります。電気メスや外科手術でともに使用される生体情報モニターでは、基板にノイズ対策が施されていますが、経年劣化等でノイズが乗ると、モニターの画面がちらついたり、誤作動が発生する可能性があります。
手術中の不具合発生を回避するため、電気メスと他機器においては、日常点検と定期点検を行うことが重要となります。
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モノポーラとバイポーラについてご理解頂けましたでしょうか。動物用医療機器.comを運営するメトランは、動物用電気メスとしても使用される”Sacty 80”を取り扱っています。モノポーラとバイポーラ含めて6つの出力モードを使用することが可能です。動物用電気メスをご検討中の皆様、お気軽に当社に御相談ください。