動物用電気メスの基本的注意事項
動物用電気メスの基本的注意事項
当記事では、動物用電気メスを扱う上での基本的な注意事項をご説明します。動物用電気メスだけではなく、人用に使用される一般的電気メスでも同様となりますので、是非参考にしてください。
機器同士の干渉
電気手術器は、高周波電流を使用しているため、併用する他の医用電子機器がEMC規格をクリアーしていても、電気手術器からの電磁的影響で誤作動する可能性があります。 特に生命維持装置については患者等に重大な傷害を与える可能性があるため、アクティブコードに他の機器や付属品およびコードが近接しないようにすること、事前に誤動作が起きないことを確認の上使用してください。 また、心電計などを同じ患者に使用する場合は、電気手術器対策の取られた心電計をご使用下さい。心電計などの電極は、術野からできるだけ離して装着して下さい。
電気手術機との同時使用
他の電気手術器との同時使用は、高周波漏洩や相互干渉が発生する可能性があります。特に接地形(ノンフローティング) 電気手術器との併用は絶対にしないで下さい。また、他の非接地形(フローティング) 電気手術器と併用する場合には事前に高周波漏洩やモニター検知電流等の相互干渉がないこと十分に確認して下さい。
本機と併用する機器が電池式であっても、高周波漏洩の回路となります。熱傷の可能性がありますので、疑問が生じた場合には、電池式機器の製造元に問い合わせをして安全性を確認しご使用下さい。
ペースメーカーの装着された患者への使用
本機をペースメーカーの装着された患者に使用することは避けて下さい。やむを得ず、本機をペースメーカーの装着された患者に使用する場合は、本機からの出力電流の干渉によりペースメーカーの停止、固定レート化、不整レート発生等の動作不良、および心室細動等の危険性の可能性があるため、十分に安全であることを確認した上でご使用下さい。詳しくは、ペースメーカー製造元に問い合わせをして安全性を確認して下さい。
高周波漏洩電流と熱傷
患者に直接接続するモニター電極は針状のものは使用しないで下さい。規格内の高周波漏洩電流でも、針電極面積が小さいため、発熱し熱傷等の可能性があります。監視用のモニター電極は、メス先電極と対極板からできるだけ離して使用して下さい。
皮膚と金属部の接触している面積が少ない場合には電気手術器の本来もっている高周波漏洩により、熱傷等の可能性がありますので金属部に皮膚が接触しないように注意して下さい。また、患者の身体同士の部分が小面積で接触することも避けて下さい。
凝固等を目的としてメス先を金属性鉗子に接触させて行う手技がありますが、これによって術者が熱傷等を起こす可能性がありますので注意して下さい。(鉗子部に接触している皮膚面積が小さいと熱傷の可能性があります。)
可燃性雰囲気
電気メスは原理的に、メス先電極部からの火花放電が避けられないために、周囲の可燃性麻酔剤や可燃性ガス、または可燃性の液体や物質、もしくは酸化性物質および助燃性物質がある所で使用しますと火災の発生や患者及 び手術スタッフに重大な損傷を与える可能性がありますので、絶対にこのような雰囲気が考えられる所で使用しないで下さい。
本機を使用する際に全ての酸素回路中に漏れがないことを確認して下さい。また、気管内チューブ、カフ等にも漏れがないように完全に動作していることを確認して下さい。
電気メスを使用するに当たり、可燃性の液体や物質(アルコール性の皮膚消毒剤、チンキ類、液体包帯、骨セメント及び乾燥したガーゼ)などが存在するところでは、充分に蒸発させるなどこれらの物質を除去する措置を講じてから使用して下さい。
可燃性の麻酔ガス又は亜酸化窒素(N20) のような酸化ガス及び酸素を使う場合は、これらのガスが吸引及び除去される場合を除いて、その使用を避けてください。[引火、発火する危険があるため] ・腸管など、患者体内に自然に発生する可燃性ガスの存在があるところでは、本機は使用しないで下さい。加えて、清掃及び消毒には、可能な限り不燃性薬剤を使用してください。
対極板
対極板は患者皮膚の血行が良い筋肉組織に全面積を確実に装着して下さい。金属インプラント埋め込み患者には、インプラントに近接して対極板を装着しないで下さい。
対極板の装着面や周囲に液体等の溜まりを作ることを避けて下さい。対極板のサイズを小さく切って使用することは絶対にしないで下さい。また、対極板アダプターは恒久的には使用できませんので接触不良等の不具合が起こる前に交換して下さい。
対極板を装着するところは、骨が突出しているところや、傷跡、皮膚疾患のある部位には装着しないで下さい。
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動物用電気メスを正しく使用し、万が一のトラブルを回避することは非常に重要です。当社の扱う電気メスにはなりますが、使用前準備・操作方法を掲載していますので、こちらも併せてご確認ください。