動物用気管内チューブの種類と適切な使用方法
動物用麻酔器の付帯機器、動物用気管内チューブ
動物用麻酔器の付帯機器である動物用気管内チューブ。今回は、動物用気管内チューブの種類と適切な使用方法について、ご説明させて頂きます。
動物用気管内チューブとその種類
動物用気管内チューブとは、動物に麻酔をかける際に、気道確保や誤嚥防止を目的に使用されるチューブです。気管内チューブには、先端に空気を入れて膨らまして気道を確保することができるカフありタイプとカフなしタイプがあります。また、片肺ずつ換気可能なダブルルーメンチューブ、またチューブ形状を大きく湾曲させて、頭部等の術野の邪魔にならないようなデザインのものも登場しています。他にも、うさぎ等の挿管困難な動物にはラリンゲルマスクも用意されているので、用途に応じて適切に使い分けることが重要です。
動物用気管内チューブの材質と特徴
動物用気管内チューブでは、一般的にはPVC(ポリ塩化ビニル)製が多く使用されています。PVCは、耐薬品性、耐酸性、耐アルカリ性に優れ、さらに安価なため、様々な医療機器に使用されています。他に、シリコンを材質とする気管内チューブも使用されています。
また、気管内チューブにおいては圧迫によるチューブの閉塞が課題となっていましたが、チューブに螺旋をいれることで閉塞を防止する気管内チューブも使用されるようになっています。
PVC(ポリ塩化ビニル)製気管内チューブを使用する上での注意点
前述のとおり、機能性に優れ安価なことから、PVC製の気管内チューブが多く使用されています。PVC製気管内チューブは本来、挿管時挿入しやすいように軽く湾曲していて挿入後、体温に応じて気管の形に変形して馴染むように設計されています。しかし、繰り返して使用すると、チューブ自体が固くなり挿入が困難になる、動物に負担をかけることにつながります。PVC製気管内チューブを使用する場合は、日常点検を心がけてください。
動物用気管内チューブ径と犬・猫の体重
動物用気管内チューブには様々な内径サイスがあり、動物の体重や種類を考慮し内径サイズを選定します。参考までに、犬・猫における、気管内チューブの内径サイズを以下に記載します。
犬の体重 (kg) |
気管内チューブの内径サイズ (mm) |
猫の体重 (kg) |
気管内チューブの内径サイズ (mm) |
2 | 5 | 1 | 3 |
4 | 6 | 2 | 4 |
7 | 7 | 3 | 4 |
9 | 8 | 4 | 4.5 |
14 | 9 | 5 | 5 |
20 | 10 | 6 | 5 |
30 | 12 | 8 | 5.5 |
40 | 14 | 10 | 5.5 |
※出典:伊丹貴晴/著 山下和人/監修 『犬と猫の麻酔モニタリング』緑書房
カフありの動物用気管内チューブの注意点
カフに関しては、Low Pressure High Volumeタイプが主流となっています。このタイプの気管内チューブは、気管内壁の繊毛を傷つけないために有効です。しかし、空気を入れすぎると逆に気管を圧迫して、傷つけることになるので注意が必要です。カフを膨らます際にシリンジで決められた量を入れるのではなく、パイロットルーンを確認するか、カフ圧計によるチェックが必要です。
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動物用麻酔器とともに使用される動物用気管内チューブは、種類も多岐にわたりますので、用途に基づき最適なものを選定することが重要です。動物用医療機器.comでは、動物用人工呼吸器や動物用麻酔器だけででなく、動物用気管内チューブのような関連機器もご提案が可能です。是非お気軽にお問合せください。