動物用血圧計 vet30,vet30Eの使用前準備
①使用前準備
1)空気ホースの接続
血圧測定を行う場合は、空気ホースを本体背面に接続します。
2)体温計プローブの接続
体温測定を行う場合は、体温計プローブを本体背面に接続します。
3)パルスオキシメータプローブの接続
SpO2測定を行う場合は、パルスオキシメータプローブを本体背面に接続します。
4)AC アダプタの接続
AC アダプタを接続する場合は、本体側面に接続します。
長時間の使用や充電を行う際に AC アダプタを接続してください。
②起動
1)本体の電源ボタンを1度押すと、本機が起動します。
2)しばらくすると「モード選択画面」が画面に表示されます。
①Small animal mode
猫や犬(超小型~中型)
*カフサイズが#1~3 または体重が 8kg 以下がおおよその目安です。
②Large animal mode
犬(大型犬)
③Equine mode
馬 *Vet30E のみ
測定を行いたい患畜を選択してください。(画面に表示されているアイコンを指でタッチして、測定を行いたい患畜を選択します。
品種や個体差によってモード選択の判断が難しい場合がありますので、その場合は複数のモードをお試しください。
ただし、Equine modeは馬以外の動物に使用しないでください。)
3)その後、待機画面が出現します。待機状態になると Start/Stop ボタンが紫色に光ります。
この状態で血圧・体温・SpO2 の測定を行うことができます。
③血圧測定
1)カフサイズの選定
■カフの内側に、カフのサイズ(番号)ならびに腕周の目安が記載されています。カフを1周巻いた時に、
腕周の目安の矢印内に収まれば適切なサイズのカフが選択されています。
■隣り合うカフサイズは1~2cm 程の重なりがありますが、複数のカフが適応できる場合は、
腕周が適応腕周幅の中心に近い方のカフを選択します。
→ 例えば腕周が6cm の場合、サイズ#1~3を利用できますが、サイズ#2の適用腕周幅(4~8cm)の中心は6cmであるので、サイズ#2が最適なカフとなります。
サイズ | 部品番号 | 腕周 |
#1 | 98-0400-80 | 3~6 cm |
#2 | 98-0400-81 | 4~8 cm |
#3 | 98-0400-82 | 6~11 cm |
#4 | 98-0400-83 | 7~13 cm |
#5 | 98-0400-84 | 8~15 cm |
#6 | 98-0400-F1 | 12~19 cm |
#7 | 98-0400-F3 |
17~25 cm |
#8 | 98-0400-F4 | 23~33 cm *Vet30E 標準付属品 |
#9 | 98-0400-F5 | 31~40 cm *非標準付属品 |
2)カフを装着する位置
■動脈から脈波を検出しやすい位置にカフを装着します。前足の肘関節と手根関節の間、
もしくは尾の付け根付近が理想的です。
■ ただし、手術中や救急時など様々な制約がある場合、上記に限らず脈波を検出できる場所で
血圧測定を試みてください。
■ その際は、心臓との高低差や血流、血管などの条件により血圧測定値の
誤差が大きくなることにご注意ください。
3)カフの装着と測定時の姿勢(前足の場合)
■肘関節と手根関節の間にカフを装着します。
■毛がフサフサしている場合、脈波が正しくカフに伝搬しない場合があるので、血圧測定が難しい場合は、
毛を剃る等の対策を講じてください。
【犬の測定】
■非麻酔下で犬を測定する場合、以下の写真のように、患畜が動かないよう体全体を優しく抱えながら、
腕を抑えてください。カフを巻いている箇所を心臓と同程度の高さに保ちます。
■ カフと心臓の間に高低差がある場合、その高低差が血圧測定誤差の要因になります。
心臓より高い場合は血圧が低く、心臓より低い場合は血圧が高く算出されます。
■ 完全に横ばい状態にすることができれば、更に測定しやすくなります。
■ 手術中等で横ばい状態になっている際は、カフや空気ホースが手術台や床等で圧迫されないよう、
ご注意ください。
■ 患畜の状態が安静で体動ノイズが小さい場合、20~30 秒ほどで 1 回の血圧測定を行うことができます。
体動ノイズが大きい場合や高血圧症の場合、測定に掛かる時間が長くなります。
■ 小型で軽量な犬の場合、次項で説明する猫での姿勢もお勧め致します。
【猫の測定】
■猫を測定する場合、以下の写真のように優しく抱きながら立たせて測定します。
その際に、カフを巻いた腕の脇を手で抑えると腕が動きにくくなり、血圧測定の失敗を低減できます。
■ 一般的に、猫での血圧測定は犬よりも難しいと言われています。
■ 超小型犬や小型犬でもこの方法が利用できます。
4)カフの装着と測定時の姿勢(尾の場合)
■ 非麻酔下の患畜の血圧測定を行う場合、立位(四つ足で立った状態)だと尾の付け根付近と心臓の位置が床から同じ高さになりやすいので、
尾での血圧測定を行いやすい場合があります。(高低差があると血圧値にも差が生じます。)
■ カフを尾の付け根付近に装着します。
■ 血管やその他循環器に関係する疾患(動脈硬化等)や異常がなければ、
前足と尾で測定した結果はほぼ等しくなります。
■ 患畜が動かないよう体や尾を軽く支えてください。
5)血圧測定
■Start/Stop ボタンが待機状態(紫に点灯)であることを確認し、Start/Stop ボタンを一度押すと
血圧測定が自動で開始され、終了後に結果が画面に表示されます。
■ 測定中は Start/Stop ボタンが青く点灯します。
■ 測定中に測定を停止させる場合、Start/Stop ボタンをもう一度押して下さい。
即座に測定が停止します。
■ 測定エラーが発生した場合、Start/Stop ボタンは赤く点灯し、測定エラーメッセージが画面に表示されます。
④体温測定
■体温計プローブを使用前後で清掃してください。
■体温計プローブを挿入する際は、患畜が横になった状態で行ってください。
■右の写真に示すように、体温計プローブを挿入する場所は口もしくは肛門です。口から挿入した場合は食道、肛門から挿入した場合は直腸の体温を測定します。
■感染を防ぐため、一度でも口へ挿入した体温計プローブを肛門へ挿入しないでください。そして、一度でも肛門へ挿入した体温計プローブを口へ挿入しないでください。
(*例え体温計プローブを消毒しても、同一のプローブを食道と直腸で使用することは避けてください。)
■上記の注意を守り、感染を防ぐためには、体温計プローブに「食道用」もしくは
「直腸用」であることを示す目印をつけてください。
■ 感染対策の必要に応じ、市販の使い捨て体温計プローブカバーをご使用下さい。
■ 体温計プローブが本体に正しく装着されると、本体の液晶画面に体温が表示されます。
⑤SpO2測定
■ 適切なサイズのクリップを選び、パルスオキシメータのセンサに装着します。
■ 耳、上唇、舌、つま先、陰茎包皮、陰門を測定場所として推奨致します。
■ 測定場所をきれいにしてから、クリップで挟んでください。測定場所に汚れがついていると、
SpO2 値の測定精度が下がる可能性があります。また、厚い毛で覆われている場合も測定が難しくなります。
■ ストロボライトなどの強い光がパルスオキシメータの近くを照らしている場合は、
正確な測定を行えない場合があるのでご注意ください。
■ センサがクリップでしっかり固定されていることを確認してください。センサの固定が不十分だと、
ノイズが発生しやすくなり、測定精度が下がります。
■ 低灌流の際には細心の注意を払ってください。センサを同じ箇所に装着したままにすると
皮膚のびらんや圧迫による壊死が起こる危険があります。1 時間毎に装着した場所の状態を確認し、
虚血などの兆候が見られる場合はセンサの装着位置を変えてください。
■ ケーブルを巻いたり、束ねるとケーブルの損傷につながります。
■ SpO2 測定中は SpO2 波形の周期に応じて電子音が鳴り続けます。音が不要な場合は音量をオフにしてください。
⑥画面の操作
【メイン画面】
本機を起動すると、メイン画面が表示されます。以下に各アイコンの説明を記載します。
① バッテリー残量
バッテリーの残量が 4 段階で示されます。
② Bluetooth 稼働状況
Bluetooth の稼働状況が示されます。本機の Bluetooth がオンになっている場合は Bluetooth マークが継続して光り、オフの場合は暗くなります。
③ STAT 測定
このアイコンを押すと、STAT 測定が行われます。
(*STAT 測定とは10 分間連続で血圧測定が繰り返される測定方法です。)
STAT 測定を強制終了させたい場合は、Start/Stop ボタンを押してください。
④ 音量調整
このアイコンを押すごとに音量を変更することができます。音量を3段階(無音、ボリューム小、ボリューム大)で調整することができます。
⑤ 患畜サイズ
血圧測定を行う患畜の大きさに合わせて適切なサイズに変更できます。
⑥ メニュー
このアイコンを押すと、メニュー画面が表示されます。
⑦ 血圧値(収縮期血圧、拡張期血圧)
測定した収縮期血圧値と拡張期血圧値が表示されます。
数値左上の+アイコンをクリックすると、血圧値を前面に表示されることができます。
(*-アイコンをクリックすると、通常のメイン画面に戻ります。)
⑧ 平均血圧値
測定した平均血圧値(MAP)が表示されます。
⑨ 脈拍数
測定した脈拍数が表示されます。
⑩ 体温
測定している体温が表示されます。
設定により、摂氏・華氏での表示を切り替えることができます。
本機が体温計プローブを検出していない時は、数値に代わり「—」が
表示されます。
数値左上の+アイコンをクリックすると、体温を前面に表示されることができます。
(*-アイコンをクリックすると、通常のメイン画面に戻ります。)
⑪ SpO2 値
測定している SpO2 値が表示されます。
数値左上の+アイコンをクリックすると、SpO2値を前面に表示されることができます。
(*-アイコンをクリックすると、通常のメイン画面に戻ります。)
⑫ SpO2 強度
測定している SpO2 波形の強度がリアルタイムで表示されます。
【メニュー画面】
メイン画面の「メニュー」アイコンを押すと、図 6.2-1 で示されるメニュー画面が表示されます。
以下に各アイコンの説明を記載します。
① 閉じる
メニュー画面を閉じて、メイン画面に戻ります。
② 設定画面
各種設定(アラーム、電源管理等)を行う設定画面を表示させます。
③ 患畜サイズ
血圧測定を行う患畜の大きさに合わせて適切なサイズに変更できま
す。
④ 音量調整
このアイコンを押すごとに音量を変更することができます。音量を3段階(無音、ボリューム小、ボリューム大)で調整することができます。
⑤ 測定履歴
血圧・体温・SpO2 の測定データを閲覧することができます。
⑥ STAT 測定
このアイコンを押すと、STAT 測定が行われます。
(*STAT 測定とは10 分間連続で血圧測定が繰り返される測定方法です。)
STAT 測定を強制終了させたい場合は、Start/Stop ボタンを押してくだ
さい。
⑦ インターバル測定
特定の時間間隔で血圧測定を繰り返すことができます。
⑧ Bluetooth 接続
本機の Bluetooth を起動させる際に、このアイコンを押してください。
【設定画面】
メニュー画面の「設定」アイコンを押すと、
図 6.3-1 で示される設定画面が表示されます。以下に各項目の説明を記載します。
①警告音:Clinical Alarms
測定値が設定値を上回った又は下回った時に、
警告音を出すように設定できます。工場出荷状態ではこの機能はオフになっています。
設定できる測定値は、収縮期血圧(SYS)、拡張期血圧(DIA)、脈拍数(HR)、体温(Temp)と
SpO2 値です。
警告音を設定したい場合、画面上でこの項目を押すと各測定値の名称が表示されるので、
設定したい測定値を押し、警告音が動作する値を下限、上限それぞれ設定します。
測定値が上限を超えた場合もしくは下限を下回った場合、メイン画面が赤色に変わり、
(音量が無音になっていなければ)警告音が発生します。
② 電源管理:Power Management
一定の時間が経過すると、自動で電源が切れる設定を行うことができます。
時間設定は「5 minutes」、「10 minutes」、「20 minutes」を選ぶことができます。
「Always On」を選ぶと、電源は自動で切れません。
③ インターバル測定:Interval BP
自動で血圧測定を繰り返し行いたい場合の時間間隔設定を行うことができます。
時間間隔は 1、2、3、4、5、10、15、30、60、90 分で設定できます。
Start/Stop ボタンを押した場合は、インターバル測定ではなく単発での血圧測定になります。
インターバル測定を行う場合は、「メニュー画面」の「インターバル測定」アイコンを押してください。
④ 患畜サイズ
患畜サイズを選ぶ画面を起動時に表示するか否かを選ぶことができます。
ここでは患畜サイズを選ぶことはできません。起動時もしくはメイン画面で患畜サイズを選んでください。
⑤ 温度単位
摂氏・華氏の表示単位を変更できます。
⑥ 時刻
時刻を設定します。また、時刻の表示を 12・24時間制のどちらかに選ぶこともできます。
⑦ 日付
日付を設定します。
⑧ 表示言語
画面に表示される言語を設定することができます。
選択可能な言語は、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語です。
⑦データ管理(測定履歴表示とデータ転送)
1)測定履歴の確認
■血圧と SpO2・体温の測定履歴を本機の画面上で確認することができます。
■ 最大 960 データ数まで表示することができます。
(*その後は最も古いデータが最新のデータに上書きされます。)
■ エラーメッセージが出た測定には、エラーメッセージが表示されます。
2)複数回の平均値を算出(血圧のみ)
■血圧の平均値を算出したい場合は、平均値に含めたい測定データを押しして複数選択し、
AVG アイコンを押してください。最上段の行に平均値の結果(AVG)が表示され、
それぞれの値(SYS、DIA、MAP、HR)の平均値が表示されます。
■ この平均値は、複数回の測定の加算平均を意味していて、平均血圧(MAP)ではないことにご注意ください。
3)平均血圧:MAP
■本機は収縮期血圧(SYS)ならびに拡張期血圧(DIA)と一緒に、平均血圧(MAP)も算出して表示します。
■ 脈拍数が正常な範囲では、一般的に平均血圧は、SYS と DIA を用いて、
次のように近似的に算出することができます。ただし、あくまで近似であることにご注意ください。
MAP = DIA + (SYS – DIA) / 3
■本機では、より正確な平均血圧を把握するため上記の近似式を利用せず、脈波振幅のピーク時のカフ圧と平均血圧の相関性に注目し、平均血圧を算出しています。
従って、近似式に SYS と DIA を代入して計算しても、MAP 算出値と一致しませんので、ご注意ください。
4) データ転送(PC の準備、Bluetooth 接続)
①PCへデータ転送を行うには、Bluetoothで正しくPC と本機を接続する必要があります。
② SunTech Medical 社ホームーページの以下の URL にアクセスして、
VetData Capture アプリ(以下「アプリ」という。)をダウンロードし、
お手持ちのPC にインストールしてください。
(*サポート OS は Windows 10、Windows8.1、Windows 7)
https://www.suntechmed.com/vet25-data-capture
③ 本機に同封されている Bluetooth アダプタを PC の空いている USB ポートに差し込んでください。
ドライバは自動でインストールされます。
④ 「メニュー画面」を参照して、本機の Bluetooth を起動してください。
⑤ PC でアプリ(VetDataCapture.exe)を起動し、ペアリング設定画面(「Select the Monitor」)が出たら、
本機に該当する行を選択して、OK ボタンを押してください。
「VetVSM-」の次に、本機シリアル番号の下 4桁が表示されていれば、その行が本機に該当します。
シリアル番号は本機底面のラベルでご確認できます。
⑥ ペアリングができない場合、90 秒後に警告メッセージが出ます。
必ず、本機と同梱されている Bluetooth アダプタをご使用ください。
市販のアダプタや他のシリアル番号のアダプタを使用しても正しくペアリングできません。
⑦ メニュー画面の「データ転送」アイコンを押すとデータ転送が始まります。
(*転送中、状況を知らせるポップアップメッセージ本機画面上とアプリの下部に表示されます。)
⑧データ転送が終わったら、アプリ上にデータが表示されます。
本機画面上にもデータ転送が終わったことを知らせるメッセージが表示されるので、OK を押して、
メッセージを閉じてください。
(*この状態では、まだPC上でデータは保存されていません。データの保存は次項を参照ください。)
5)レポート作成とデータ保存(PC アプリ)
①アプリでは、患畜名、患畜 ID、患畜の種類、年齢を入力することができます。
アプリ上にそれぞれの情報を入力する欄があるので、入力したら「Apply」ボタンを押して、登録します。
ただし、「Apply」ボタンを押す前に、対象となる測定データを Ctrl キーを押して選んでください。
(*別の患畜のデータが含まれないようにご注意ください。)
② 表示されているデータにコメントを書き込みたい場合は、
データ閲覧画面の Comment 欄(一番右端)に直接コメントを入力します。
③ Report を作成する場合は、Report に含めたい測定データをクリックして選択します。
複数のデータを選択したい場合は Ctrl キーを押しながらクリックします。
この状態で「Report」ボタンをクリックすると、Report 用紙が表示されます。
用紙の左側に「Include Charts」と「Include Data」のチェックボックスがあり、
グラフを表示させたければ「Include Charts」をチェック状態、表を表示させたければ「Include Charts」をチェック状態にします。
「Print」をクリックすると、プリンターで印刷できます。「PDF」をクリックすると、Report を PDF ファイルで保存できます。
④ 「PDF」ボタンをクリックする方法でも PDF ファイルを作成できます。
(クリック前に、必要なデータを選択してください。)
⑤ データ形式で保存したい場合は、「CSV」ボタンをクリックして、csv ファイルで保存してください。
CSV ファイルはメモ帳(Windows 標準搭載ソフト)で閲覧するのが文字化け等が少なく、最も確実です。
Excel 等で開く場合は、セルの書式や自動認識等の影響で、文字化けする可能性があることにご注意ください。
お気軽にお問合せください!
動物用血圧計vet30,30Eは、適切な使用前準備・操作が必要です。当ページで説明した通りに使用いただけますと幸いです。不明点がございましたら、お気軽にお電話や下記問い合わせページより問い合わせください。